地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
今回の旅の最後は
「アメリカ合衆国 ヴァージン諸島」
だよ。
案内してくれるのは、
佐藤 哲 教授
だよ!
- ▲ 珊瑚礁の周りを泳ぐ魚
-
わぁ~きれいな魚♪
-
カリブの美しい海で泳げるなんて、気持ちいいね!
-
こんにちは。君たち泳ぎが上手だね。
-
ありがとうございます!犬かきは得意です!
-
そっか、うさぎじゃなくて犬だったのか。
-
お兄さんバカンス?
-
私は仕事でここに来ているんだよ。
-
じゃあこの島のこと、色々教えてください。
-
もちろん。何でも聞いてください。
-
ヴァージン諸島ってカリブ海にあるけどアメリカなの?
-
ここはアメリカ領ヴァージン諸島。アメリカの一部だけど、キューバやドミニカ共和国のさらに西側、北緯20度ほどの位置にある熱帯の島だよ。
- ▲ 湾内に停泊するヨット
-
どんな人たちが住んでるのかな。
-
カリブ海の他の島々と同じようにさまざまな民族に属する人々が住んでいて、文化的にも社会的にもたいへん多様性が高い地域なんだよ。10万人ほどが暮らすこの島の公用語は英語だよ。
-
あの人たちは何をしているのかしら?
- ▲ セント・トーマス西端海洋保護区におけるエコツアーの様子
-
あれはエコツアーだよ。
ヴァージン諸島の中心であるセント・トーマス島の西側1000ヘクタールほどの面積は、セント・トーマス西端海洋保護区になっていて、豊かなサンゴ礁とマングローブ、海草群落が広がっていて、とてもすばらしい自然環境に恵まれているんだよ。 - ▲ セント・トーマス西端海洋保護区に成立するマングローブ林
-
みんなカリブ海クルーズ船に乗ってくるんだね!いいな。
-
きれいな海に囲まれて天国ね♪
-
でもね、この島にも環境問題は起こっているんだよ。
-
そうなの?!どんな?
-
この保護区に、陸からの汚染が流入したり、観光や漁業活動によって自然界にダメージを与えてしまっているんだ。
-
どうしたらいいんだろう。
-
こういった地域社会が直面するさまざまな環境問題への取り組みを支えるために、ユニークな研究活動を行っているレジデント型研究機関としてヴァージン諸島大学があるんだよ。
-
大学があるの?
-
そう。私の仕事場でもあります。
-
レジデント研究機関ってなあに?
-
地域に根差した研究を、地域の人々と協働して推進する研究機関を「レジデント型研究機関」と呼んでいるよ。
-
そうなんだ。
それで、どんなお仕事をしているの? -
ヴァージン諸島大学は、保護区に関係する地域のさまざまな人々が協働して、保護区の管理と持続可能な活用を進めてくことを支援しているんだよ。
-
みんなにとっていい方法をとるにはどうやっていけばいいのかな。
-
さまざまな関係者が参加するワークショップを通じて、多くの人々に共通する保護区と地域の未来のあり方のビジョンを探りながら、お互いの関心や視点の違いを浮き彫りにし、さらには自分と違う立場の人になったつもりで議論するロールプレイを導入して、相互理解を深めることを試みているんだよ。
-
みんなでおしゃべり楽しそう~♪ルン
-
・・・ナス子ちゃん、女子会のノリはやめましょう(汗)。
- ▲ 休憩するバラクーダ
-
こういったワークショップでの会話を、セマンティックネットワーク分析などを活用して詳細に解析し、人々の考えや思いを目に見える形で整理していくことで、利害や関心が異なる人々が協働できる仕組みをつくろうとしているんだ。
-
セマンティックネットワーク分析って???
-
機械でテキスト分析をして多く使われている言葉を調べたり、今と昔でどんなキーワードがあるかを調べたりして、みんながどんなことを考えているかを分析するんだよ。
-
地域の人々と共に問題解決していくことが重要なんだね。
-
私たちは、このようなレジデント型研究者による地域の課題に密着した研究が、どのようにして地域の環境問題の解決につながっていくか、世界各地の事例の研究から解明しようとしています。
-
難しそうだけど、頑張ってくださいね。
アメリカ合衆国 ヴァージン諸島
- 地理:
- アメリカ合衆国ヴァージン諸島
- 気候:
- 亜熱帯気候
- 経済:
- 観光
- 民族:
- 多様
- 言語:
- 英語
今回のガイド
佐藤 哲
総合地球環境学研究所 教授
マラウィ大学生物学科助教授、スイス・ベルン大学動物学研究所客員研究員、WWF ジャパン自然保護室長・長野大学環境ツーリズム学部教授などを歴任。一人の科学者として科学と社会のかかわり、地球環境問題の解決に役立つ科学のあり方を探求しています。