地球犬と行く!世界への冒険 ─ 調査地を研究者と一緒に地球犬が冒険します
次は
「フィリピンパナイ島バタン湾」
からおとどけします。
案内してくれるのは、
緒方悠香
プロジェクト研究員
だよ!
- ▲ バタン湾のマングローブ林
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フィリピンのパナイ島にあるバタン湾に来たよ。
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きれいなところね~。あれ?水の中から木が生えてる!
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これは「マングローブ」っていう、熱帯の沿岸に生える植物の林なんだって。マングローブは塩水でも育つことができるんだよ。
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ここにはいろんな種類の魚がいそうね!見てみたいな!
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あ、建物の中に人がいるよ。いろいろ聞いてみよう!
- 放流プロジェクトの作業小屋 ▶
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こんにちは~!何してるの?
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こんにちは。ここでウシエビを放流するために育てているのよ。
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ウシエビ?それは牛なの?エビなの?
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ウシエビはエビの一種で、日本ではよくブラックタイガーって呼ばれているよ。
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ブラックタイガーなら知ってる!スーパーで売ってるね!
- ▲ バタン湾で取れたウシエビ
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うわ、大きいね!
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今日は珍しくこんな大きいのが獲れたけど、最近はウシエビの数も減ってしまっているんだよ。
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どうしてウシエビが減ってしまったの?
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みんなが獲りすぎてしまったり、たくさんのマングローブを切り倒してしまったから、ウシエビの子供が安全に暮らせるすみかが減ってしまったせいだと考えられているよ。
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そっか~、それでウシエビを増やすために放流しているんだね。
- ◀ 放流前の作業
- ◀ エビに標識を付けているところ
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わっ!手に銃みたいなものを持って、何かしてる!こわいよう・・・
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大丈夫。あれは、放流するエビに標識をつけているの。エビさんにはちょっとかわいそうだけど、放流したエビがきちんと生き残って、自然の中で大きく育っているかチェックするために大事な作業なのよ。
- ▲ 標識の付いたウシエビ
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これが放流するウシエビの子供ね。本当だ、体に青い糸のようなものが付いているけど、元気に動いているね!
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漁師さんはどうやってエビや魚を獲るの?
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一緒に見に行こうか。
- ▲ 漁をする人たち
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二人で網をもってジャブジャブしてる!
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あれはアミっていう小さなエビに似た生き物を獲っているんだよ。
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竹で組んであるのは何?
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あれはティグバコーと呼ばれる定置網。潮の満ち引きにあわせて網を上げたり、下げたりして魚をうまく誘導して獲るのよ。
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いろんな工夫をして魚を獲っているんだね。
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他にもカニ籠や投網(とあみ)、四手網(よつであみ)など、たくさんの種類の漁具があるよ。
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バタン湾にはいろんな種類の魚やエビ・カニがいるから、それを獲る方法も多様なんだね。
- ▲ 早朝のサンプリング
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お兄さんたちは何をしているの?
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エビの放流だけじゃなくて、漁師さんと協力して、ここでどんな魚がどれくらい獲れるかも調べているの。
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環境を良くするためには、今の状態をきちっと記録しておかなければいけないんだね。
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そのとおり。それじゃあ帰る前に、漁師さんが用意してくれたランチを一緒に食べましょう!
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わーおいしそう!下に引いてあるのはバナナの葉っぱだ!
- ◀ バタン湾で取れた海の幸を使った料理
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もぐもぐ・・・。このカキ、いくらでもいける・・・。
僕たちがこれからもおいしい海の幸を食べ続けることができるように、海の環境をもっと考えていかなきゃだね!
フィリピンパナイ島バタン湾
- 地理:
- 東南アジア。フィリピン海と南シナ海にある列島(群島)。ベトナムの東に位置する。
- 気候:
- 熱帯海洋性モンスーン気候(雨季と乾季がある)
- 経済:
- 輸出への依存性は低く、国の収入の多くを出稼ぎ労働者の送金が占める。
- 民族:
- タガログ、セブアノ、イロカノ、ビサヤ、ヒリガイノン‐イロンゴ、ビコール、ワライ、その他(中国系、スペイン系など)
- 言語:
- 国語はフィリピノ(タガログ)語、公用語はフィリピノ語及び英語。80前後の地方言語がある。
- 宗教:
- ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック。イスラム教は5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の2割以上)。
- 食文化:
- 主食は米。地方により郷土料理はあるが、植民地時代の影響でアメリカンフードも主流。
- 建築:
- 街中はコンクリートの建物が多いが、地方では竹やヤシを使った家に住む人も多い。
今回のガイド
緒方悠香
総合地球環境学研究所 プロジェクト研究員
博士(農学)。専門は増養殖学と国際水産開発学。希少な淡水魚の種苗生産技術開発のため、ラオス、インドネシアなどで研究を行う。現在はフィリピンのウシエビ放流事業のマネジメントを担当。