環境教育/人材育成

環境教育

地球研では、教育を次世代市民と情報・知識の交流をおこなう貴重な機会ととらえ、研究プロジェクトの成果等を集約・統合し、地球研ならではの環境教育「RIHNメソッド」の構築をめざしています。

その基盤として、地球研は京都府立洛北高等学校(以下、洛北高校)および京都府立北稜高等学校(以下、北稜高校)と教育協定を交わしました。教育の現場で、地球研の最新の研究成果を活かす環境教育を実施しながら、「RIHNメソッド」概念を明確にする知的作業をおこないます。

二つの高校での教育は、重点の置き方が違います。

洛北高校では、文系と理系の1・2年生の生徒の課題研究、地球環境研究の問い立てから結論まで通年で環境教育をサポートし、市民公開イベントやウェブサイトでその成果を発信しています。探求型授業の最先端を試行しています。

北稜高校では2年生を対象に、総合的探究の枠の中で「地球環境学の扉」を開講しています。1学期には地球研の研究者が自らのフィールド調査の経験をもとに講義し、2学期には高校生が自らテーマを設定し、課題学習を進め、地球研の研究者がアドバイスをおこないます。3学期に高校生は、京都市立明徳小学校や京都市立岩倉南小学校で小高連携事業の一環として、学習の成果を小学生に発表します。2020年はオンライン開催になりましたが、小学生も地域学習の成果を発表し、地域に根差した環境教育とは何かを考える機会となりました。

そのほか随時、小学校から高校まで、求めに応じて「地球環境学」の学習と考察をサポートしています。SDGsに関連した教育の依頼が多くなりましたが、2019年度からは高校での遠隔教育システムを活用した環境教育、国内外との交流授業を支援しています(文科省WWL事業)。オンラインによる教育活動は制約もありますが、あらたな可能性も見えてきました。2019年におこなったKYOTO気候行動高校生サミットは、2020年度はオンラインになりましたが、京都府教育委員会と京都市教育委員会の協力を経て、参加校が増え、議論はさらに充実したものになりました。

こうした環境教育の実践は、地球研の「地球環境学」を問い直す機会にもなっています。教えることにより、学ぶことは多々あります。教育をとおして「地球環境学」への新たな視点を獲得しています。なにより地球研の環境学は、社会のための学問であり、社会と共創することに特徴があります。教育活動は社会とつながる大切な場です。今後は教育機関に加え、行政機関、地域住民との協力、連携をさらに推進し、地球研ならではの環境教育「RIHNメソッド」の開発をおこないます。

写真1:洛北高校「課題探究Ⅰ」を遠隔で実施、サポートしている様子(2020年9月)

写真1:洛北高校「課題探究Ⅰ」を遠隔で実施、サポートしている様子(2020年9月)

写真2:北稜高校生が地元の小学生との環境学習交流会に向けて作成した動画(2021年1月)

写真2:北稜高校生が地元の小学生との環境学習交流会に向けて作成した動画(2021年1月)

次世代の人材育成について

地球研では、総合地球環境学を担う次世代の人材育成に努めています。大学との連携協定に基づき大学院生を受け入れ、フィールドにおける研究指導、授業科目の担当、学位授与審査への参加など、実質的な大学院教育をおこない、従来の学問分野では対応しきれない地球環境問題の解決に貢献できる実践的な人材育成に貢献しています。

2020年度には、4名を特別共同利用研究員として、また、1名を特別共同利用研修学生として受け入れて研究指導をおこないました。また、学術交流協定を締結している名古屋大学大学院環境学研究科および東北大学大学院生命科学研究科の連携教員として、計3名の教員が研究指導等に参画するなど、より組織的な大学院教育を展開しています。さらに同志社大学とは包括的な連携協定を結んでおり、理工学部環境システム学科1 回生を対象とした「環境システム学概論」のリレー講義を担当しています。このように、さまざまなかたちで人材育成に貢献しています。

また、実践プロジェクト等において大学院生(2020年度は46名)を積極的にプロジェクトメンバーとしてフィールド調査、研究会、国際研究集会等に参画させたのをはじめ、地球研の同位体分析等の高度分析機器の利用や、過去の研究プロジェクトにより収集された地球研アーカイブズの活用などをとおして、専門性、総合性、学際性(学融合性)、国際性を備えたリーダーシップに富む若手研究者の養成に貢献しています。さらに、2020 年度に在籍した上級研究員(7名)、研究員(29名)、のうち5名が大学教員として採用される(2021年3月31日現在)など、若手研究者にキャリアパスを提供しています。

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